研修院とは

研修院は、理科分野を担当している現職教員が、理科の授業を行う上で生じた疑問や問題を基にした課題を、群馬大学教育学部理科教育講座の教員と協同して解決する、オーダーメイド型の研修の場です。

 理科の授業では「科学」や「科学技術」の内容を扱います。このうち「科学」は、新たな発見によって定説が覆ることもある、変化を常とする学問です。また「科学技術」は日々目覚しいスピードで進歩しています。これらの変化や進歩を把握し、新しい知見やそれらを反映させた教材を授業に取り入れることで、理科の授業はよりおもしろい充実したものになると考えられます。
 また、理科の授業には必ずといっていいほど観察・実験が取り入れられます。観察・実験は実感を伴った理解には欠かせないものですが、授業時間に制約があることや多数の生徒が平行して行うことなどから、授業での観察・実験が予想と違う結果、つまり『失敗』に終わることも少なくありません。このような『失敗』を避けるためには十分な予備実験を行うことはもちろんですが、『失敗』をしたときにその原因を明らかにすることも大切です。
 以上のことから、理科を教えるためには学び続けることが必要であると言えます。しかし、学校の教員は理科を教えるだけでなく生徒指導や学校運営の業務を行わなければなりません。さらに小学校の教員は理科以外の教科の指導も行います。そのため、現職教員が純粋に理科の授業のために割ける時間は限られています。
 このような実態を踏まえて県や市町村が行う理科に関する研修や任意団体の勉強会などの機会が設けられており、多くの現職教員が研鑽を積んでいます。しかし、これらの研修の多くは受講人数が制限されており、あらかじめテーマが決まっています。このような研修以外に、一人一人の教員が求める知識や技術を個別に習得する場も必要ではないでしょうか。

 我々群馬大学教育学部理科教育講座では、理科で即戦力となる教員を養成すべく、学部・大学院を通じて授業改善などの努力を行ってきました。一方で、学生が就職して現職教員となった後の知識・技術の更新は、現場でのOJT(On the Job Training)に任せて積極的に関わりを持って来ませんでした。しかし、団塊世代の退職が始まり、知識や技術の継承が各界で難しくなっている今日、教員養成学部として、世に送り出した学生が理科の教員として活躍し続けることができるように生涯に渡って支援することも重要ではないかと考えるようになりました。
 そこで発足させたのが「群馬大学理科教育長期研修院(Gunma University Center for Professional Development and Research in Science Education)」です。研修院では、理科の授業を行う上で生じた問題や疑問を基にした課題を現職教員の方々からご提案いただき、担当教員と協同して解決を目指します。
 担当教員となる群馬大学教育学部理科教育講座の教員は、教員養成を行っているだけでなく、それぞれが物理・化学・生物・地学・理科教育分野の独自の研究を行っており、各自の専門分野に関してエキスパートであると自負しています。我々の知識・技術と大学の機材等が現職教員にとって有用なリソースとして活用されることは、教員養成学部の教員として大変喜ばしいことです。また、現職教員の方々と関わる機会が増えることで、現場の課題に即した、より即戦力の高い卒業生を送り出す教員養成につながるのではないかと期待しています。

 高い能力を持つ理科の教員を養成し、現職となってから課題が生じたときには研修院で解決のお手伝いをし、その活動がさらに高い能力を持つ理科の教員の養成につながる―群馬大学教育学部理科教育講座では、研修院がそんなポジティブ・スパイラルの核となることを願いながら活動していきたいと考えています。